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【視察レポート】大阪・岬町「Silver Backs」を訪ねて —— 「大阪産(もん)」うさぎ肉が教える命への敬意と、食を通じた社会課題への挑戦

2026.09.04

ある夏の日、オーナーシェフの西出をはじめキッチンスタッフとともに、当店の料理で扱っている「うさぎ肉」の生産元である、大阪府岬町の「Silver Backs(シルバーバックス)」様へ視察に伺いました。

代表の多田様から伺ったお話は、単なる食材の調達という枠を超え、「命をいただくことの重み」や「地域社会との共生」について深く考えさせられるものでした。大阪のテロワールを表現する「なにわイタリアン」を追求し、食農SDGsに力を入れるNishideriaにとって、非常に共鳴する素晴らしい時間となりました。

今回は、その視察で得た深い学びと、皆様にお伝えしたい生産者様の想いをご紹介いたします。

  1. 日本唯一の食用うさぎ生産地と「なにわイタリアン」の誇り

現在、日本国内で食用のうさぎを専門に生産しているのは、実はこの「Silver Backs」様ただ一軒のみです。当店でご提供しているうさぎ肉は、厳しい基準をクリアした「大阪産(もん)」の認定を受けています。
同じ大阪府内で仕入れが完結することは、新鮮な状態でお客様へお届けできるだけでなく、輸送にかかるCO2排出量(フードマイレージ)を大幅に削減することに繋がります。これは、Nishideriaが目指す「単なる地産地消を超えた、大阪という土地の輪郭を伝える」料理のあり方そのものです。

  1. 生態に寄り添う「ケージ飼い」という真のアニマルウェルフェア

「平飼い=動物福祉(アニマルウェルフェア)」というイメージを持たれがちですが、多田様は様々な飼育方法を試された末に「室内でのケージ飼い」という答えに辿り着きました。
縄張り意識が強く繊細なうさぎを平飼いしたところ、オス同士の激しい喧嘩や病気の蔓延により、多くの命が失われるという悲しいエラーがありました。個別のケージで安全かつ衛生的に管理することこそが、うさぎを過度なストレスから守る「真のアニマルウェルフェア」なのです。
大きな音でも命を落としてしまうほどセンシティブなうさぎにとって、静寂と豊かな自然が残る岬町はまさに最適な環境でした。

  1. 命を絶対に無駄にしない。極限まで高められた「命への敬意」

多田様のうさぎへの深い愛情を感じたのは、「命の向き合い方」です。
足を怪我したり特定の病気にかかってしまい飲食店へ卸すことができない「B級」のうさぎや、食用にしない「耳」の部分も決して廃棄することなく、ドッグフードとして加工し、「いただいた命を絶対に無駄にしない」という強い信念を貫かれています。
また、命をいただくプロセスにおいても、うさぎが少しでも苦しまないよう研究を重ね、現在ではわずか5分ほどで安らかに命を全うさせる独自の技術を習得されています。食材となる最後の瞬間まで、深い敬意が注がれています。

  1. 地域課題の解決と未来への挑戦 —— 空き家を活用した新たな一歩

ほんの半世紀前まで日本の食卓にあった「うさぎ料理」の文化を再生するため、多田様は地元の小学校での食育活動や、新規就農者への育成サポート(飼育指導やうさぎの譲渡)など、多岐にわたる活動を行っています。

さらに驚かされたのが、その圧倒的な行動力と社会課題へのアプローチです。
現在、多田様は四條畷の屠場を利用されていますが、岬町から四條畷への長距離移動は、うさぎにとって少なからずストレスになってしまいます。そこで、その「輸送ストレス」すらも無くすため、岬町の農場近隣にある「空き家」を買い取り、独自の屠場や新たな飼育場所として改装するという計画を進められています。

これはアニマルウェルフェアを極限まで追求する姿勢であると同時に、現在日本全国、そして岬町でも深刻化している「空き家問題」という社会課題の解決(有効活用)にも繋がる、非常に意義深い取り組みです。

おわりに —— Nishideriaの使命として

当初は食用のうさぎを育てることに対し、地域の理解を得るのが難しい時期もあったそうです。しかし、当時の岬町の区長様が快く受け入れてくださったことで、この素晴らしい命のバトンが今に繋がっています。

今回、実際に現場を拝見し多田様の情熱に触れたことで、私たちがひと皿の料理としてお客様にお届けすることの「責任」を再確認いたしました。

食材の背景にある「生命のストーリー」、社会課題へ立ち向かう姿勢、そして生産者様の「想い」。これらを西出のイタリアの技法で最高のかたちに昇華させ、お客様にお届けしてまいります。
Nishideriaで味わう特別な一皿を、ぜひその背景にある美しい物語とともにお楽しみください。

皆様のご来店を、チーム一同心よりお待ちしております。

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